今回もあまり深く考えていないポストを。
日本の実質GDP成長率と実質個人消費支出(PCE)の成長率を見てみただけだけれども、いちおうポストしておく。きっかけとなったのは、消費税を3%引き上げた場合の「成長率」への影響は、PCEから成長率へのフィードバックの無いシンプルなモデルで考えると一回限り3%(消費税の増税幅)*70%(PCEがGDPに占める大体の割合)=2%だけGDP成長率が下がるだけのはずだけれども、データでは実際どうなっているか確認したかったということである。何はともあれ、データをグラフにして見たのが以下である。成長率は各四半期の前四半期からの成長率を年率換算(4乗しただけ)したものである。
目立つのは地震のあった2011年と消費税増税(5%→8%)がなされた2014年の初めである。GDP成長率の落ち込み幅が2011年の第1四半期と2014年の第2四半期でほぼ同じであり、PCEの落ち込み幅は2014年の第2四半期の方がずっと大きいのが驚きである。まぁ、消費税増税の場合事前にわかっていたので駆け込み需要(2014年第1四半期)の反動でより大きく見えるということもあるのだけれども。
個人的にはひとつのデータポイントを見て政策が成功したとか失敗したとかセンセーショナルに語るのはばからしいと思うのだけれども、まぁ、せっかくの機会だから、消費税増税の前、増税の直前から直後、消費税増税の後の平均の成長率を計算してみた。以下の表がそれである。
面白いことに実質GDP成長率は消費税引き上げ前(2012-2013、地震があったので2012年からしか始められなかった)と消費税引き上げ後(2014年以降)で成長率は年率1.1%で同じである。もちろん、それぞれの期間はとても短いので、これらの数字はどこから初めてどこで終わるかに大きく左右されるが、この数字を使えば、消費税の増税は経済成長率に影響を与えていないと議論することもできるだろう(僕はできないけれども)。消費税引き上げの直前から直後の成長率はマイナス1.8%と下がっている。ちょうど最初に計算した、消費税のGDPへの影響と同じ数字なので、需要がGDPに影響を与えるモデルがあれば多分これも再現できる範囲の落ち込みだろう。
ちょっと厄介なのは消費である。消費税増税直前から直後の落ち込み幅(3%)というのは理論のとおりである。但し、理論とちょっと整合的でないのは、PCEの成長率が消費税引き上げ前(年率換算1.5%)と後(マイナス0.3%)で大きく下がっているという点である。GDPは影響を受けていないので、消費税の再増税が予想されるから消費を抑え目にしていると解釈できるかもしれないし、まぁ、データポイントが少ないからまだわからないといっておいてもよい。でも、今後の動きが楽しみである。
ついでに書いておくと、内閣府のウェブサイトからデータを取ってくるのもとてもわかりにくい。そもそも、英語版のExcelファイルをダウンロードしても、日本語(かあるいは他の2バイト文字)がファイルに含まれているので読めなかった。Excelファイルのありかについては、英語版は比較的わかりやすったが、日本語版はひどくわかりにくかった。日銀だけでなく政府のデータの使いにくさ、どうにかならないものか。GDPなんてのは最も重要な指標のひとつであり、日本語を使えなくても誰もがすぐにダウンロードして使えるようにしておくべきだと思うが。
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