Trading Stocks with Trump's Tweets

前に書いたけれども、NPR(National Public Ratio、アメリカの公共ラジオ局)のPlanet Moneyというポッドキャストが僕のお気に入りだ。経済学や経済一般についてのいろいろな内容を、30分以内で紹介するポッドキャストだ。今回は、Planet Moneyが行っている、面白い試みを紹介する。

アメリカのトランプ大統領はTwitterにかなり頻繁に投稿することで知られているが、Planet Moneyのメンバーは、アメリカのトランプ大統領がいろいろな企業についてTweetを投稿していることに注目した。例えば、トランプがある企業について悪いことをTweetしたら、その企業の株価が下がる可能性が高い。そこで、トランプ大統領がある企業についてTweetをしたら、悪い内容ならその企業の株をショートし、よい内容ならその企業の株を買えば儲けられるかもしれないと考えた。但し、常にトランプ大統領のTweetをチェックして何らかの企業に言及したらすぐに手動で株の売買を行うのは非効率なので、自動化することが望ましい。

では、このような売買をどのように自動化できるだろうか?アメリカではこのような自動的な株取引が可能なシステムが存在するらしい。どのように実装するかについて簡単に説明してみよう。このプログラムはトランプ大統領のTweetをフォローし全て自動的に分析する。注目するのは次の2つの要素だ。1つ目は、ある(上場)企業の名前が言及されているかだ。2つ目は、その企業について、ポジティブな内容かネガティブな内容かということだ。1つ目については、トランプ大統領が言及したら反応する企業名のリストを用意しておくだけである。とはいえ、難しい要素もあるようだ。例えば、「ティファニー」というキーワードは結局使えないことがわかった。大統領の娘の一人の名前がティファニーであり、娘のことを言っているのか、企業のティファニーについて言及しているのかを識別するのは困難なことがわかったからだ。2つ目の方が難しい。ある企業について言及する表現はいくらでもあるからだ。例えば「トヨタがメキシコに工場を作るらしい。トヨタはひどい(Toyota is terrible)。」であればトヨタに対してネガティブなことをTweetしていることは容易に判断できる。しかし、例えば、「トヨタはメキシコの計画を取りやめてアメリカに工場を作るらしい。トヨタの考えはひどかったが考えを改めたようだ。ホンダも見習うべきだ。」というTweetがポジティブであることを自動的に判断することは難しい。しかも、この場合、トヨタについてなのかホンダについてなのかの判断も簡単ではない。どのようにポジティブかネガティブかの判断の質を高めたかというと、トランプ大統領の過去のTweetをプログラムに分析させ、その分析結果を人間がチェックして、間違っていたらそれをプログラムに学習させることで判断の精度を高めていったのである。機械学習と呼ぶのかな。

では、トヨタについてネガティブなTweetだと判断したとしよう。次に決めなければならないのは、どのようにトヨタの株を取引するかだ。パラメーターとなるのは、いくらショートするか(ネガティブの表現度合いによって金額も変えたほうがより期待利益が高まるかもしれない)と、どの程度保有するかである。これについては、これまでの株価のデータがあるので、どのような売買ストラテジーに従えば、少なくとも過去の株価の動きによると期待利益を最大化できるかを試すことができる。もちろん、彼らのプログラムは株価を動かさないという仮定が必要だ。結局わかったのは、トランプ大統領が何かの企業についてネガティブなTweetをするとその企業の株価は低下することが多いが、その効果は比較的すぐに消えてしまうので、Tweetがでたらすぐ株を売買し、30分くらい保有してから逆の取引を行ってポジションを解消するのがもっとも期待利益を高めることがわかった。

Planet Moneyでは、このシステムをBOTUS(Bot of The United States)と呼んで、BOTUSが何をしているかをリアルタイムで公開している(@BOTUS)。ちなみに、BOTUSというのは、アメリカ大統領をPOTUS(President of The United States)と呼ぶことに引っ掛けている(ついでに書いておくと、ペンス副大統領のペットのウサギはTwitterのアカウントを持っていてこれもBOTUS = Bunny of The United Statesと呼ばれている)。

最近、BOTUS(ウサギじゃないほう)が何をしているかについての報告がPlanet Moneyあったが、今のところ、BOTUSは何のトレードもしていないらしい。というのは、トランプ大統領は(最近は)Tweetを夜中にすることが多いので、取引をしたくても株式の取引時間外だからである。時間外取引をするという手もあるが、時間外取引は取引量が少ないのでリスキーであり、時間外取引をするか考えているところらしい。引き続き注目している。

0 comments:

Post a Comment