Rising Asia or European/American Blip?

どうでもいいといえばどうでもいい話なのだけれども、前回紹介したDe Nardi et al.の論文が最新のJPEに出ていた。重要な質問に説得力のある新しい答えを出せばトップジャーナルにいくのだ。

しばらく前のEconomistで、アジアが急に躍進という考え方は間違っていて、産業革命以来しばらくの間欧米の経済規模が相対的に拡大してきたのが、元に戻りつつあるだけである、というような話が書いてあった。そこで引用されているデータは西暦1000年から始まっているが、データソースを見てみたところ西暦1年からのデータが整備されていたので(どうやって作られたかは聞かないでほしい)、グラフを作成してみた。このデータを整備しているのはAngus Maddisonである。IMFなども彼のデータを使っているので、恥ずかしながら、僕は聞いたことがなかったけれども、この分野では有名な人なのかもしれない。

では、まずはEconomistにはなかったが、人口の比率のグラフから。アジア対欧米という切り口だけではもったいないので、Economistに掲載されたグラフより分類が細かいものを作ってみた。産業革命の時期に欧米の人口比率が急増したものの、アジアの比率が再び巻き返してきている。欧米、日本などのいわゆる「先進国」は人成長率が鈍化あるいはマイナスになっている国が多いので、しばらくは現在の傾向が続くのだろう。ちなみに、グラフは2030年まで描かれているが、2030年の予測がどのように作られたかは聞かないでほしい。


では、Economistでも使われていたGDP比率のグラフを以下に示す。

「その他アジア」の比率が1940年だけ急増しているが、これは、中国のGDPがゼロであった一方、現在の中国にあたる地域の生産が「アジア全体」にカウントされているからだと思う。これをみると、Economistの言っていた、アジアの躍進という考え方は間違い、というのもうなずける。国のサイズを考えれば日本だってまだまだ捨てたものではない。とはいえ、最近の相対的な成長率の鈍化も明確に見て取れる。

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