The Costs and Benefits of Financial Advice, by Foerster, Linnainmaa, Melzer, and Previteroは、カナダのデータを使って、Financial Advisor(FA)を雇うことにメリットはあるのかという質問に答えた。主要な結果は以下のとおり。
- FAに支払う料金を考慮に入れると、FAを雇っている投資家のリターンは、passive benchmark(S&P500に投資したまま放っておくようなものと考えて欲しい)に比べて2.5%低かった。つまり、FAはリターンを高めるという目的には、役に立たない。
- FAに払う料金は投資家の投資に関する知識とは相関していない。つまり、金融に関する知識に乏しい投資家が、知識を補完するためにより高い料金を払っているわけではない。
- FAを雇っている投資家は、貯蓄、ポートフォリオ、売買の頻度等の面で、FAを雇っていない投資家と異なっていた。このことは、投資家は投資のリターンを高めるという目的以外のためにFAを雇っていることを示唆している。
What Drives Financial Complexity? A Look into the Retail Market for Structured Products, by Celerier, and Valleeは、最近個人投資家で買う人が増えているStructured Productが何の役に立っているのかを分析した。彼らは、ヨーロッパに流通する55,000のStructured Productsの複雑さ(complexity)を、それらの商品の説明が何単語で行われているか(それに、言葉の難しさでウェイト付けした)によって数値化し、どのような金融機関がどの位複雑なStructured Productsを取り扱っているかを分析した。彼らの主要な結果は以下のとおり。
- 流通する商品の複雑さは2002年以降年々上昇している。
- 金融知識に乏しい顧客が多い金融機関ほど複雑な商品を取り扱いがち。
- Structured productsのマークアップは複雑さが高いほど高い傾向にある。
- 金融機関同士の競争が激化すると複雑さは上昇しがちである。
Household Portfolio Choice and Retirement, by Jawad Addoumは、アメリカの家計が退職に伴い投資のポートフォリオをどのように変えるかを分析した。主要な結果は以下のとおり。
- カップルの株式に投資される割合は退職にともなって低下するが、シングルの場合、株式に投資される割合は退職時に変化しない。
- 妻のリスク回避度が夫に比べ大きい家計ほど、退職の際に株式への投資割合が低下する幅が大きい。
- 夫の退職の際には株式に投資される割合は下がるが、妻の退職の際には株式へ投資される割合は上昇する傾向がある。
- これらの結果は、カップルの投資決定は、異なるリスク回避度を持ったパートナーの間で決定され、特にまだ働いているパートナーの選好が大きく反映されるモデルを支持している。
Corporate Scandals and Household Stock Market Participation, by Giannetti, and Wangは、ある企業の不正の発覚が株式市場にどのような影響を与えるかを分析した。彼らの主要な結果は以下のとおり。
- 不正が発覚した企業の本社が存在する州では、株式を保有する家計(extensive margin)、株式の保有量(intensive margin)の両方が減少する。
- 不正が発覚した州においては、その不正に関連する企業の株を保有していない家計も株式の保有を減少させる。つまり、不正は株式市場への全般的な「不信」を生み出すことになる。
- その結果、不正に関わっていなくても、不正が発覚した企業と同じ州に本社がある企業の株価および株式保有者の数は減少してしまう。
どのペーパーも、「Behavioral」な雰囲気が漂っているなぁという印象を受けた。
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