Quick Random Thoughts on Consumption Tax

久しぶりに日本語の経済学関係のブログとかを見てみたら、いろいろ突っ込みたいことがあったので、もう遅れている可能性大だけれども、つれづれと書いておく。
  1. 消費税の軽減税率適用についてまだ議論されているようだ。経済学者としては、大多数が同意する貴重なイシューなので、日本の皆で署名のようなものをすればいいのでは。新聞社が軽減税率を(自分に)適用したがっているので、経済学者が騒いでもマスコミにはあまり露出されないというのが問題になるのかもしれない。軽減税率適用に経済学者の多くは反対であることが書けるのか、一般向けの経済系の雑誌の編集者さんとかに聞いてみたいものである。
  2. 軽減税率について、所得の高い人(と消費の多い人が同じと仮定しておく)の方が、金額で得をするので、軽減税率というのは金持ち優遇だみたいなことを書いている人がいて、笑ってしまった。普通は、すべて消費(あるいは所得)に対する割合で、金持ち優遇(所得や消費の多い人のほうが低い「税率」で消費税を払う)か貧乏優遇(所得や消費の少ない人のほうが低い「税率」で消費税を払う)かが区別されるのでは。まぁ、受けを狙っているのであって、真顔で書いているわけではないのだろう。僕らは経済学の議論をしているのだから、あることをしなかったら、その代わりに何をしなければならないかを考えなければならない。食料品などの消費税に軽減税率を適用するということは、国全体の税収が下がる(ラッファーカーブにおける「普通の」位置にいるとしよう)ということなので、その代わりに、ほかの税率を上げなければ同じ税収が確保できない。大体の税金は最低でも所得や消費の金額に比例しているので、消費税に軽減税率が適用されて、所得の低い人の方がより低い税率で消費税を払うということになれば、その分所得の高い人はより高い税率でほかの税を払うということになる。特に、個人が払う税の中で大きな割合を占める所得税は累進的(所得の多い人の方が高い税率で税を払う)なので、所得の高い人に適用される総合的な税率(所得税や消費税、全部含めた税率)は軽減税率の適用範囲が広がれば広がるほど高くなる。
  3. 軽減税率がなぜ「人気があるか」 について解説した記事もあった。流行の行動経済学的な説明をしているが、こんなもん、行動経済学なんて使わなくてもわかると思う。消費税率は(大まかには)既に決まっている。ごねれば軽減税率が適用されてみんな今払う税率は下がる。政府の債務に関する議論とかを見るにつけ、すぐに財政再建がされそうな気配はないので、多くの人は今払う税金が少なくなって(将来に先送りできて)うれしい。という簡単な話ではないのか。基本的なモデルでさんざんトライしたあとで、行動経済学的な説明に頼らざるを得ないならわかるけれども、なんでも最初から行動経済学という態度には個人的にはうんざりだ。日本では、いわゆる「普通の」経済学がよりも、わけのわからないものがはやる傾向がような気がするが、最近は「わけのわからないもの」の代表が行動経済学なんだと思う。基本がしっかりしていて、それに対して異議を唱えるという位置づけなら大歓迎だけれども、行動経済学がメジャーみたいな様子は個人的には不安だ。

0 comments:

Post a Comment