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- ここ最近、Romerが、最近の成長理論について、特にLucas-Mollの論文を題材に激しく攻撃していることが話題になっている。これとかがわかりやすく纏められている。そのうちhimaginaryさんが書くのではと思うので放っておくが、もしかしたら僕も何か書くかもしれない。
- 上でリンクを張ったブログで"Math is not science"というフレーズが使われている。日本でも、(特に最近の)経済学についての誤解はMathとEconomicsの関係についての誤解が生まれているように見える。
- しばしば目にする素人さんの批判として、「経済学は高度な数学ばかりに注意を払って現実を見ていない」というものがある。この批判が的外れなのは、「高度な数学」を「難しい英語」に代えてみるとわかりやすい。「経済学は高度な難しい英語ばかりに注意を払って現実を見ていない」といっているのと同じである。数学は、モデルを効率的に厳密に記述するために使っているのであって、効率的に厳密に記述できるのなら(残念ながらそんなことはないのだが…)日本語でも良いのだ。
- 一方で、しばしば理系の(数学の良くできる)人の経済学批判として「経済学で使う数学はたいしたことない。厳密さに欠ける。」というものがある。これも、「経済学で使う英語はたいしたことない。厳密さに欠ける。」と言い換えればちょっと的外れなのがわかるだろう。数学ができることは、英語がうまいのと同じく経済学で武器になるが、それが十分条件では決してない(もちろん数学あるいは英語ができることがより強くアドバンテージとなる分野もある)。重要なのは、現実の経済について理解をし、現実の経済で働いていると思われるメカニズムをきれいなモデルで描写する能力だと思う。
- ついでに書くと、いわゆる理系から転向したような人は、モデルを過度に信頼している気がする。その結果、モデルをきっちり推定することや、モデルが現実に近いことを過大評価している気がする。これについて言える(よく言われる)こととして、モデルは現実のごく一部を簡略に表したものであり、どんなモデルも何らかのデータと整合的でないことを示すことができる、ということだと思う。現実のどのような側面をモデル化し、どのような側面をばっさり捨象するかに、センスが現れていると思う。
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