また短いエントリーを。
中小企業向け融資などの返済猶予の求めに応じる努力をすることを金融機関に求める法律(通称モラトリアム法案)が採決されたようだ。どのような考えの下に実施されたかはちゃんと調べてないのでわからないけれど、最近の政策の内容と決定過程から察するに、中小企業かわいそうだから助けよう、政治的にも受けがいいぞ、位の考えなのだろう。もしそういうことなら、賛同する経済学者は稀なのではないか。ここでは、経済に長期的に与えるマイナスの影響を3つあげておきたい。
1つは、もし金融機関なら、今後、中小企業に融資する際に審査をより厳しくするか、将来モラトリアムが義務化された際のコストをカバーするプレミアムをつけるであろう。中小企業の定義が何なのか調べてないのでわからないけれど、そのthresholdぎりぎり上と下の企業に対する融資がどう変化するかを見れば、どのような悪影響があったか図ることができるかもしれない。
2つ目は、企業が、将来モラトリアムの恩恵を受けることを期待して、大きくならないインセンティブをあたえる。もし、雇用者数で中小企業が定義されているとすると、thresholdぎりぎりの企業は新規採用をして「中小企業」から外れることに躊躇するであろう。この効果は測るのが難しいが、中小企業の定義が安定していて、thresholdに近い企業を識別することが容易であれば、測ることができるかもしれない。
3つ目は、本来早くつぶれるべき企業がしばし延命されてしまい、resourceの効率的な再配分を妨げることもあるだろう。長期的には問題がない企業が短期的に資金繰りに困っているケースではモラトリアムは有効かもしれないが、そういう企業は政府が口を出さなくてもちゃんと新規融資を得られるのではないか。
経済学者も、「仕分け」に騒いでいる暇があったら、重要なissueに対してもっと積極的に発言するべきでは。
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