More Kids Wanted!!

週1-2回が目標といいつつ既に最初のポストから1週間以上経過してしまった。難しい。

選挙の頃、義務教育の無償化とか、児童手当といった政策が新聞をにぎわしていた。その後これらの政策がどうなったかを追ってはいないのだが、これらの政策について思うところを書いてみる。まだ頭の中が整理されたわけではないので、後で直すかもしれない。
  1. こ れらの政策はしばしば子供がいる家庭への支援という切り口で語られることが多いが、おそらくは真の目的は少子化対策である。公平性とか政策への支持といっ た話を無視すれば、既に生まれた子供のいる家庭に支援をしても意味がない。既に子供を生むという決定はなされている(sunk)からだ。これらの政策は、 子供のいる家庭の支援という一見わかりやすい視点よりも、いかに出生率上昇に貢献するかといった視点から評価されるべきであろう。
  2. その意味では、政策の効果をどのように計算しているのか、時間があったら調べてみたい。
  3. こ れら政策を経済学的に議論するのが難しい理由のひとつとして、普通の経済学のモデルでは人口の大きさは重要ではないということが挙げられる。重要なのは welfare、あるいはそのproxyとして、一人当たりのGDPなのである。inequalityという話をとりあえず無視すると、シンガポールより 中国を目指す根拠を普通の(特にマクロの)モデルで得ることは難しい。
  4. おそらく、少子化対策といった場合、国は大きいほうがいいとい う、おそらくは政治的な考え方が背後にあるのであろう。他にすぐに考え付く目的として2つある。1つ目は、社会保障制度を維持するために人口を維持すると いうものである。ただし、社会保障制度維持が目的であれば方法は他にもあるので、必ずしも少子化対策に頼る必要はない。2つ目としては、国内市場が大きい ことによるbenefitがあるモデルを念頭におけばもちろん人口を増やすことのメリットを正当化できる。
  5. 決められた予算で子供を作る インセンティブを最大限に高めるにはどのようにお金を使ったらよいか、という視点でこれらの政策は評価されるべきである。児童手当に所得制限を設けるとい う考え方の背後にあるのは、高収入の人に月2-3万円あげても子供を作る気にはならないであろうという考えがあるのであろう。
  6. ただし、 所得制限のある少子化対策で注意しなければならないと思うのは、composition effectだ。僕の周りにいる、年1000万円以上稼いでいるような女性は、2-3万円をもらおうが公立高校が無料になろうが、子供を生むか生まないか の決定を変えることはほとんどないと思う。子供の数をただ増やしたいという目的のためには、こういう女性に補助金を回しても効果は小さいだろう。一方、こ のような政策の帰結として、低収入の親を持つ子供の割合が増えることがあげられる。これらの政策は、基本的には高収入の人から低収入の人へ所得を再配分し て子育てを委託することと似ているからだ。もしも、高収入の親から生まれる子供の「能力」が高いということであれば(もしも、の話である。そもそも「能 力」を図ることは難しい。)、所得制限付の児童手当を実施することで、平均的な子供の「能力」が下がる、あるいは「能力」のinequalityが上昇す るであろう。
  7. composition effectに中立的な少子化対策を実施するためには、大雑把に言えば児童手当は所得に比例させればいい。高収入の女性が育児のために仕事を休むopportunity costは低収入の女性より高いからだ。
  8. ただし、こうした政策は政治的に実施が難しいであろう。他国を見ても、今の日本で検討されている政策と似たようなインセンティブ構造の国が多いようだ。他国の状況も今後調べてみたい。

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