Specialization or Discovering Taste?

Market Designで言及されていた論文Ofer Malamud (NBER WP2009)。Abstractしか読んでいないがこれは面白い。

大学が将来のキャリアに与える2つの異なる効果を考察した論文。大きな問題は以下のものである。大学では、早くから専門に特化させて専門分野の知識を蓄える方が将来の役に立つのか、あるいは、専門を選んで特化し始めるまでに時間を与えて個人個人にに合った専門分野を選ばせるべきなのか。もし各人が自分にあった分野をすぐに選べるのであれば大学では早くから特化させてより多くの専門知識を習得させた方が有効な一方、もし各人が自分にあった分野を選ぶのが難しいのであれば、早くから特化すると、間違った分野に特化してしまい、後でキャリアを変更する羽目になると大学で学んだ専門知識が無駄になるリスクがある。

イギリスではScotlandの大学が専門分野への特化を遅らせるシステムを採用していて、Englandでは早くから専門分野に特化させるシステムを採用しているので、この比較が可能であるらしい。

彼の論文の主要な発見は、Scotlandの大学のシステムを出た生徒の方が、後でキャリアを大幅に変える確率が低いということである。このこと自体は、大学で時間をかけて自分にあった専門を選ぶことが専門知識習得に匹敵する位重要であることを意味する。しかし、必ずしも、ScotlandのシステムがEnglandのシステムより優れていることを意味しない。

日本の主な大学では大学受験時に専門をかなり狭める(文系理系の区分)という、更に極端なシステムを採用している。これが本当によいシステムなのか検証する必要があるのではないか。アメリカではまったく逆のシステムを採用していることも念頭に入れておく必要があるだろう。日本では大学は主にselectionのために存在するのでこのような議論は日本では重要ではないということもできるかもしれないけれど。もう一つ、日本の大学との関連で言うと、少なくともトップ大学のひとつである東京大学では、2年次まで専門を完全には固定しない制度(いわゆる「進振り」)を採用している。東京大学で学位を取得した学生が他大学の学生より平均的に高い賃金を得ているならば、この制度が多少なりとも貢献しているのか、興味がある。

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