Minimum Wage and Profitability

時間がないのでイントロしか読んでいないペーパーについての本当に簡単な備忘録。最新のAEJ Applied Economicsに載っていた、"Minimum Wages and Firm Profitability," by Draca, Machin, and Van Reenenについてのメモ。最低賃金を引き上げたときに何が起こるかというのは、労働経済学において永久に決着がつかず永久に研究が続けられる質問のひとつのようだ。完全競争の仮定の下では、最低賃金が上がれば雇用コストの上昇を反映して、最低賃金に引っかかるような低賃金の雇用は減少する。反対に、完全競争が成り立っていない状況で、企業が完全競争で達成される雇用レベルより低い雇用を維持しているときには、最低賃金が引き上げられると逆に雇用が上昇するかもしれない。これまで、さまざまなデータを使って、最低賃金が引き上げられたときに雇用がどのように影響を受けるかという研究が進められてきたが、決着はついていないようだ。

このペーパーでは、雇用の増減という質問から離れた。企業が利益を上げていて、最低賃金の引き上げによって労働者に支払われる賃金が上昇した場合、企業は、生産する財・サービスの価格に転嫁するかもしれない。販売する財・サービスの価格に完全に転嫁できなければ、利益が圧縮されるはずである。これらは実際に起こっているかを検証してみたというものだ。

1999年の英国における最低賃金の引き上げを自然実験として使った結果、最低陳議員が引き上げられた際には、実際に賃金支払いは上昇し、企業の利益は小さくなることがわかった。その一方、雇用や生産性には影響を及ぼさなかった。利益が小さくなるという効果は、市場支配力が強い産業の方が大きかった。

筆者は、利益の縮小は、長期的には将来の参入の減少となってあらわれるだろうとイントロで書いている。それに加えて、おそらくは、利潤が縮小することで将来の生産性改善のための資金が減少し、生産性の上昇が抑えられるという効果もあるかもしれない。短期的に雇用が増えたか増えないかということだけ見ていてはいけないと考えさせられた。

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