Engodenous Risk Aversion?

Economistで、リスク回避度(どのくらいリスクを嫌うかの指標)が人によって異なるだけでなく、どのような環境に直面してきたかによっても変わりうるという記事を載せていた。不景気を経験したり、株で大損したあとなどは、リスクを以前よりも回避しがちになるという話である。まぁ、いわゆる、Behavioralな話である。リスク回避度が人によって異なる場合にマクロ経済にどのような影響を与えるかという研究は時々見るけれども、リスク回避度自体が時につれて変化するというマクロの研究は見たことがない。

平均的に高成長を達成するためには、大きめの景気循環を受け入れなければならないというのは、ありうる話である。経済が成長し続けるためには、様々な新しい技術にトライしなければならず、時によってはそのようなトライがうまく行き、別の時にはうまく行かないというのはありうる話である。その場合、もし、人々が非常にリスク回避的であれば、景気循環は小さいものの、経済成長のスピードも遅いという状況が望ましいということもありうる。日本をこのような状況として考えることもできるのではないか。低成長が続いた結果、人々が非常にリスクを嫌うようになり、結果として平均的には低成長になってしまうというストーリーである。社会保険制度や累進的な税への支持が高まっているのも、このような視点と整合的である。もしそうであれば、低成長は最適な状況であり、特に気にしなくてもよいということになる。無理してリスクを取るインセンティブを高めたりしてもしょうがない。

あと一つ二つ雑感を。 もちろん研究においてはうまく識別できるように注意が払われているんだろうけれども、例えば、株で大損したあとにリスク回避度が高まるのか、将来の株のリターンの分布についての主観的な期待が悪いほうにシフトするのかの違いには興味がある。日本のバブルが崩壊したあとで、portfolioがとてもconservativeになった人を見てきたが、どちらの説とも整合的だ。

この記事に載っていた、 ホラー映画を見た後はリスク回避度が高まることを実験で証明したという研究を紹介しているが、個人的にはこのような実験結果が、より大きな問題を考える際にも適用されるという考え方はとてもナイーブだと思う。

もう少しちゃんとした論文についてのエントリを書きたいのだけれども、忙しい。

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