Wolf on Two Mistakes

Martin WolfがBen Bernankeは2つのミスを犯したと述べている。一つ目は、Great Moderation(1980年代半ばから2008年の間の、緩やかな景気循環が達成された時期)を賞賛し、よりよい金融政策が経済の安定の達成において重要な貢献をしたかもしれないと述べたことである。二つ目は、サブプライムローン危機が経済に与える影響を過小評価したことである。

二つ目については、多くの経済学者と同じく、たぶんミスと呼んでもいいだろう。このミスの反省の上に、マクロ経済学では金融セクターとマクロ経済の関係がずっとhot issueになり続けている。では、一つ目はどうだろうか?Great Moderationがどのくらいが優れた金融政策のよるもので、どのくらいが幸運によるものかについて皆が合意する結果は出ていないと思うが、2008年以降に何が起ころうと、2008年までの経済の安定を悪く言う理由はない気がする。

もちろん、Taylor Ruleのようなルールに従った金融政策運営が、危機を引き起こすきっかけを作るというのであれば問題があるだろうが、そのような理論は聞いたことがない。2008年以降のサブプライムローンの焦げ付きに始まる金融危機が、いわゆる古典的なBank Run(サブプライムローンを多く保有していた金融機関の信用性の低下に基づく取り付け騒ぎ)だといえるのであれば、経済が再び安定的な状況に戻れば、2008年以前のような世界に戻ることは十分考えられる。今後は、金融機関がバランスシートの外でおかしなことをしていたらすぐに感知できる体制を整え、資産価格(住宅価格も含む)が「上がりすぎている」と皆が合意できるときには、景気が悪影響を受けるとしても、金融を引き締め方向に持っていく、事をするだけである。

金融危機から5年たった今も、金融セクターが経済全体に与える影響を研究することが盛んに行われているが、2008年の5年前に、金融セクターがここまで重要なものとなるとは予想がつかなかったように、次のhot issueはぜんぜん違うものではないかと思う。

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