End of French Super-Tax

今日はあるニュースに関する簡単なメモ。

Pikettyの本のブームに伴い、高所得者への課税を考えることがブームになっているが、フランスでは、2012年より実施されていたスーパータックス(100万ユーロ(約1.4億円)以上の所得に対して75%の税をかける法律)が取りやめとなった。スーパータックスは現大統領のFrançois Hollandeが大統領に立候補するに当たってぶち上げられた目玉政策だったが、長くは持たなかった。

どうしてうまく行かなかったのか?理論的にはいくつかの理由が考えられる。

1. お金持ちがほかの国へ移住してしまった。話題になったのはBernard Arnault(LVMH(ルイヴィトンとか多くのブランドをを保有する会社)の社長)がベルギーに移住したことと、 Gérard Depardieu(俳優)もベルギーに移住(その後でロシアに移住)である。
2. フランスはビジネスに不都合な国というイメージが広がって多くの多国籍企業がフランスの外へ移住した。
3. お金持ちは税金がかからないように所得をうまく動かす方法がいろいろある。
4.お金持ちがより努力するインセンティブがそがれてGDPに負の影響を与えた。

経済学では最後の二つに焦点が当たりがちだが、新聞記事では最初の二つが注目されていることが面白い。この政策が議論されている頃、Economistは、主に1と2を理由として挙げて大反対していたのを思い出す。

では、日本で高所得者への高税率が実施されたらどうなるか?ヨーロッパと違い、日本では近くの国に移るのはそう簡単ではないかもしれない。ただ、最近は、僕の知り合いでも香港やシンガポールに普通に移る人が増えているので、特に、多国籍企業に勤めている人の間では、そういった国への移住が(税金を避けるための形だけかもしれないが)発生するだろう。僕がシンガポール政府のアドバイザーだったらこういう人を誘致する政策を(ひそかに)提案すると思う。

2について言えば、日本はそもそも成長市場でもないし、ビジネスフレンドリーな国と捕らえられてはいないので、問題ないと思う。今の時点で、日本、香港、シンガポール、の選択肢があったら、よっぽど野の理由がない限り日本に拠点を作ったりはしないだろう。地震のあとでどのくらいの企業が移ったかを調べてみると、この「弾力性」がどの程度か感覚がつかめるかもしれない。

フランスでさえ、うまく行かなかったが、日本ではこういう無茶っぽく思える政策も意外と実施されるかもしれない。長い時間実施されてどのような効果があるのか、見てみたいものだ。

0 comments:

Post a Comment