- 冬の間は外が寒いので、自然と中のTreadmillで走ることが多かった。外よりも退屈なので、退屈しのぎに、久しぶりに経済関係のいろいろなPodcastを聞いてみた。Podcastの面白さを久しぶりに思い出したこの冬だった。流行のせいか、経済学の専門家でない人にもとっつきやすい話がしやすいからか、行動経済学とか実験経済学の話が多かった。Amy Finkelsteinの話などはとても面白かった。
- 彼女の話の中では、実験経済学への批判や問題点にどのように対処するかなどついても話があった。それはそれで面白かったが、それとは別に、マクロ経済学には、実験というものはそぐわないのではという気がする。マクロ経済学を、個人や企業が市場にて取引し、市場で決まる価格や、市場の逼迫具合(market tightness)から個人の行動へのフィードバックがある中で政策などを考える分野、のように考えると、このような状況を再現して、実際の経済に役立つ実験ができるとは到底思えない。もちろん、価格などが所与の状態で、個人の行動がどのように決まるかという、部分均衡的な話であっても、対象がマクロ経済であればマクロだと考えることもできる。その場合でも、小さな実験で得られた結果が、マクロ経済全体について有益な情報を与えてくれるとは到底思えなかった。
- こういう話をNorthwesternにいたことのある友人としていたら、Christianoも、「マクロの実験のためには、アメリカのどこかの州を塀で囲んで、そこだけ違う政策を実施するようなことをやるしかないから、実験というのはマクロにはそぐわない」といっていたと聞いた。big shotが同じような感想を持っていたと聞いただけでちょっと安心した。
- ただ、例えばNorth Dakotaを塀で囲んで、例えば失業保険をなしにしてみたとしても、塀のなかったときのNorth Dakota、あるいはアメリカ経済自体は、他の州や国と貿易を行っているので、塀で囲ったNorth Dakotaで得られた結果が実際のアメリカ経済に当てはめられるとは思えない。それにNorth Dakotaの産業構造や労働者の特徴の構成はアメリカ全体と大きく異なるだろう。そう考えると、Christianoが挙げた例も、言いたいことはわかるが、そのままではあまり使えない気がする。
Random Thoughts: On Experiments and Macroeconomics
ちゃんとしたエントリを書く時間がないので、その場しのぎに雑感を書いてみる。
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